東洋医学(中医学)学習のポイント
2002.06.03 西村晃輝
・漢方…漢とは中国の漢を言い、方とは処方などの薬を意味します。
・ 漢方は日本や朝鮮でその国の風土や生活状態にあった医学であり、
インドで発生しました。 そして、医学も仏教と共に中国に入りました。
★ 中医学は東洋で広く発生・発展してきた医学と言う意味で東洋医学とも呼ばれ
ています。
歴史の流れ
・ 古代人は、傷口を舌で嘗め、痛みを手でなで、さすったりして和らげ病があれば草を食べて治癒してきました。
・ 集団生活に移行すると、遊牧民族の間では鍼灸術が生み出された。刃物などで経穴を刺激したり、熱を加えた治療が行われました。
・ 大自然の中で生活をしている民族は、気候の変化、宇宙などの現象に敏感で、独特の自然観察力を持っていました。
* 人も宇宙のリズムと同じ関係であり、特有の医学体系を築きました。
のち…黄河流域に国家を建て、鍼灸医学となりました。
・ 中国西方に住んでいた民族は、恵まれた自然の草木を利用して、薬草を中心的にした治療法を創りました。
* 神仙思想と結びつき、不老長寿を願う人が続々と出現し文献を持った独自の医療体系をもつようになりました。
* 更にこの頃、江南の豊かな自然産物(薬草類)を症状に合わせ処方することを長い経験から体得していた。
・ 黄河領域で発達した鍼灸術は「実」
★ 正常な人は、虚と実が保たれている。陰陽のバランスが崩れ、体に何らかの症状が現れるとその状態によって、虚実もどちらかに傾いてしまう。
・ 虚証…何かが不足したため起きた病気。治療には、不足した何かを確認し補ってやらねばならない。
・ 実証…外から、風・暑・湿・乾・寒と、される五つの邪気のどれかが侵入し、起こる病気。五つの邪気は、気候、環境、暴飲暴食、疲労などが原因である。
・ 寒熱
…症状を分析し、病気の性質により寒と熱に分けられる。
○ 寒症の人には温める薬を…気孔など
○ 熱傷の人には冷やす薬を…
・ 表裏
…表とは体表面(陽)である。裏とは体内(陰)である。
病気とはです。
東洋医学の臓腑という概念が、西洋医学でいう内臓とは違う事に注意しなければなりません。
東洋医学では、臓器そのものを特定するのではなく、経絡とそれに関連する臓腑をも含めた生理機能を意味しているからです。
例えば「肝の生理」という場合「肝経の作用と肝の機能」を合わせて意味するからです。
現代医学を学んだ人が「東洋医学は難しいし、分からない」とよく言いますが、それはこうした意味を理解しないからで「経絡.臓腑系の生理学」と表現すれば理解し易いかもしれませんネ。
臓と腑はともに内臓を指しますが腑とは管状、袋状の器官で、飲食物を運搬し、消化吸収する働きがありますが、臓はそうして出来た栄養物質を貯蔵する器官と考えられています。
五臓六腑といわれるくらいですから肝.心.脾.肺.腎の五臓が基本的な臓器ですが、経絡との関係で、これに心包絡を加えます。心包は心を包む膜で、心の代行をすると考えられるところから、一般には一臓と考えられませんので五臓六腑といいます。
では、これらの臓腑は、どの様な働きをするのでしょう。
冒頭で要点を説明しましたが更に詳しく解説してみましよう。
・ 肝と胆
肝は血液を貯蔵し、血量を調節する働きがあります。同時に肝は気の働きをコントロールし思考活動の中枢でもあります。「肝っ玉の太い人」という場合の「肝っ玉」はこの肝のことです。イライラしたり怒りっぽいと肝に悪影響を与えます。平然としていられるというのは、肝の許容量が大きいということでしょうか?
肝が弱くなると、胆が出動します。胆は胆のうを意味します。胆汁を貯蔵するとともに「大胆な人」「胆力のある人」という言葉が示す通り、公正に判断を下し、決断力
、実行力の源泉でもあります。
つまり、肝で正しく判断し、その実行を胆で決める訳です。
こころの底から交わるという意味の「肝胆相照らす」という言葉は、肝と胆の関係(表裏関係)を物語っています。
怒りっぽくなった.短気.お腹が張る.満腹感.手足がつりやすい.生理不順.
爪が割れやすい.うつ気味.口の中が苦い.視力低下.眼底出血.耳鳴り
・ 心と小腸
心は血液の循環を管理しています。その調子が良いか悪いかを見るには、脈拍の変化のほか、顔色のつやや舌の様子から判断します。
「こころに留める」「こころを砕く」という言葉から分かる様に心は精神や意識が存在する所と考えられました。
心と小腸とは互いに関係していて、例えば心に熱があれば、その症状は小腸に現れて血尿を生じるといわれています。東洋医学でいう小腸は、解剖学上の小腸の他に泌尿器をも意味している事がおわかりでしょう。
小腸は、胃で消化された食物を栄養分(精という)と不要物に選別し、養分は脾に、不要物は大腸や膀胱に送ります。小腸が機能低下すると、下痢や血便、尿閉などが起こると考えられています。
イライラする.口の中に湿疹が出来やすい.脈拍異常.手足のしびれ.物忘れがひどくなる.全身に脂汗が出る.寝汗をかく.胸や背中が痛む.呼吸が荒い.顔面蒼白.
のどが渇く
・ 胃と脾
東洋医学でいう脾は栄養を吸収するという時は十二指腸、血液や体液を調整するという時はすい臓、血を包むという時は脾臓を指す事になり、胃の運動機能.すい臓.十二指腸.脾臓を総合し関係)にあります。
大腸は、小腸から飲食物のカスを受けて体外に排泄する働きをします。
鼻づまり.咳き.喘息.手足のむくみ.尿が出にくい.多尿.肌や髪の荒れ.のどが渇く.呼吸が短い.声が小さくなった.風邪をひき易い.眠りが浅い.手足が火照る
痰が黄色い.痰が濃い.
・ 腎と膀胱
腎は体内の水分調整を行い、泌尿機能を管理しています。この他に腎はスタミナや精気.精力(性力)を蓄え、それを五臓六腑の機能活動や成長発達.生殖に役立てます。
また、東洋医学では腎は脳とも深い関係があると考えられています。
この為、過度のセックスはスタミナを消耗するだけではなく、思考力の減退をも招くといわれています。
東洋医学でいう腎は、腎臓のみならず性腺、副腎など内分泌まで抱合されています。
腎と膀胱は互いに関連していて、膀胱中の尿は腎気の作用によって排泄されます。
よく知られているように、腎炎になれば尿停滞などを起こしますが、これは腎と膀胱の関係から説明できます。膀胱はいゆまでもなく余分の水分を排泄する器官です。
新陳代謝が悪い.腰痛.精力減退.朝は顔、夕方は足がむくむ.下痢.関節痛.骨折し易い.歯槽膿漏.口臭.悪寒.耳鳴り.めまい.頻尿
・ 心包と三焦
心包も三焦も、ともに西洋医学では考えられない機能概念です。
三焦は気血.体液を全身にめぐらす役目をします。「三焦は臓腑の外営となす」という言葉から、胸膜.腹膜とも思われますが、消化から排泄までの代謝系統と考えた方がいいでしょう。
心包は心に代わって心の働きをし、心臓を取り巻く心筋、心膜.などが、心包の機能と考えられています。
経絡と経穴
◎ 12本の経絡と内臓の密接な関係
古から古代人は、死体を解剖する時には経絡の実体を発見しようと必死の努力が続けられものと思われる。しかし、いつも結果は失望のうちに終わっている。
それでは、いったい経絡とは実在するのか?否か?
そして、経絡の正体とは何なのか?
経絡学説は中医学理論の最も重要な構成要因である。経絡を一言で言い表すならば、人体を流れるエネルギーの調整機能であるという事が考えられます。
経絡学説は2000年以上もの間、中医学の中で、人体の生理機能や病気の分析や診断法、治療技術について、常に我々に理論的根拠を与え続けてきました。
地球には経緯度と緯度線があることは誰もが知っています。縦が→経度であり。 横が→緯度です。経絡も地球の経線と同じように考えると理解し易いと思います。
人体を縦に走る幹線を→経脈。 人体を横に枝分かれる線を絡脈といいます。
経絡とは、経脈と絡脈の総称なのです。
そして、経絡は陽経(六腑に関係があり上から下へ流れる)と陰経(六臓に関係があり下から上へ流れる)に大別されます。
中国最古の医学書「皇帝内経」によりますと、経絡とは「内は臓腑に属し、外は肢節(手足)につながる」とありますので、まさに経絡とは人体機能を調整するエネルギーのネットワークであるという事が考えられます。
経絡には正経12経と奇経八脈とがありますが、一般的には正経12経と奇経八脈の中の任脈(胸腹部の正中線を流れ陰経の総指揮官である)、督脈(背中の正中線を流れ陽経の最高司令官である)を合わせて14経絡と呼んでいます。
12経絡を12本の河川に例えるならば、奇経八脈は湖や貯水池にあたり、12経絡中のエネルギーの盛衰は奇経八脈が調整します。中でも任脈と督脈は特に重要だとされています。
ですから、リラクセーション整体法や気功法で任脈、督脈の調整を行えば正経12経絡や奇経八脈である全身に流れるエネルギーの調整を行う事により健康回復、病気の改善につながるのです。
ですから、リラクセーション整体師.気功の熟練者はクライエントの呼吸のリズムに合わせて内気である生命エネルギーを任脈、督脈に沿って放射しているのです。
一方、各経絡にはエネルギーの出入りする箇所が沢山あり、経穴や奇穴、と呼ばれています。その他に阿是穴と呼ばれるものもあります。
いってみれば経穴(ツボ)は、送電線の変電所や線路にある駅(人の出入りする場所)に相当するものと考えれば理解しやすいでしょう。
そして、経穴と呼ばれているものだけでも全身に657穴あるとされています。
(参考文献)
学院教本
(指導教官)
・城山 雅広
・三井 清滋
・伊藤 清
初めて学ばれる皆さんに、、、、、、
東洋医学を始めて学ぶ学生さんにとって理解するのが困難であると言う声をよく聞きます。
そこで東洋医学の学習を進めるに当りポイントを誰にでも理解し易いように整理してみました。
このポイント集であるレーポートを読まれた方が“人類の英知と経験を結集”した東洋医学を少しでも理解し、興味を示され、更なる深い研究をされるなら私としても喜びにたえません。
おりしも、02/06/18日より中医学の本場である、上海中医薬大学へ研修の参加ができる事は私としても存外の喜びであります。
これを、機会にさらなる研鑚を積み、皆さんと一緒に東洋医学の理解を深めたいと考えております。
最後にレポートを作成するにあたり快く指導して頂いた城山先生.三井先生.伊藤先生にお礼を申し上げます。
02/06/12
西村 晃輝
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